情報収集の最効率化 - 「吉田メソッド」

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この間、 日本IBMで部長をなさっており、 Tmediaブロガーでもある吉田けんじろうさんと、フリーライターである有村悠さんを中心として、 初対面20人ほどで集まって飲みました。いわゆるオフ会ですね。そこで吉田さんが 「一週間に数回のペースで20人単位の初対面の人と飲む事にしてる」と聞き、驚愕しました。

そして思いました。考えてみれば、これはプッシュ型の情報インプットとしては凄まじく効率的かつ有効な手であると。 この仮説を「吉田メソッド」と定義し、ちょっとブログで整理しようと考えています。

「吉田メソッド」を一言で定義するなら、「初対面の人間との飲みを頻繁に行う」という、 最大限効率のプッシュ型情報収集方法論です。

なぜなら、最も濃い情報Feedは人であり、かつ人は、 初対面という状況×酒と食べ物×コミュニケーション能力が噛み合った時、 最大限にプッシュ型の情報Feedとなりうる=自分の認識できる世界を最大効率で広げることができるからです。

そしてそのメソッドを有効に使用できるのは、 本やRSSリーダー読みまくってプッシュ型情報メディアに飢えてるそこの貴方です。(そういえば、 吉田さんも活字マニアで一週間2,3冊ペースだと言っていました)


そもそも、なんで飲むことになったのか

少し前、娘さんが学校裏サイトで攻撃された体験談がブログに記述され、大変話題になりました。 このブログを書いたのが吉田けんじろうさん。

けんじろうとコラボろう! > 学校裏サイトで娘が実名で攻撃され、父としてメールを送ってみた。 : ITmedia オルタナティブ・ ブログ
けんじろうとコラボろう! > 娘を攻撃する学校裏サイトに親としてメッセージを書いた結末 : ITmedia オルタナティブ・ ブログ
けんじろうとコラボろう! > 娘を攻撃した学校裏サイトでの「いじめ」が解決した?子供のネット規制は禁酒法時代の二の舞か? : ITmedia オルタナティブ・ブログ

で、それに対応して、フリーライターである有村悠さんが反応。

一連の記事からプロファイリングするに、 ご令嬢はかなりデキるひとであることが読み取れる。アメリカの英語の教科書で世界史を勉強する学校というのはよほどの高偏差値だろうし、 国連に入る夢を抱きつつそんなところでリーダーシップを発揮していたというのだから (『国連』 『ボランティア』 ってなんか学歴アッパークラスのキーワードだよなあ) 、スクールカースト的にはもう圧倒的に強者である。

そういうひとに対する「いじめ」 というのは、大多数の平凡かそれ以下の連中の妬みから生まれるものだ。他意のないことをお断りしたうえで申し上げると、 このいじめ解決話、 下々の連中がうるさいから圧倒的火力のマッチョパンチで叩き潰したという光景なのである。 や、個人的には実に爽快だが。

学校裏サイトのいじめ解決が実はマッチョの成功体験だったという話 - E.L.H. Electric Lover Hinagiku

で、それをよんだ吉田さんがブログにコメントし、有村さんと会話。その流れでなんと「一度飲んでみませんか?」 と吉田さんが提案

マッチョと飲みませんか?  割り勘で。 - E.L.H. Electric Lover Hinagiku

そのときの吉田さんの心境はこちら

けんじろうとコラボろう! > 私の学校裏サイト記事を茶化した(disった)「はてなブロガー有村さん」の記事にコメントしてみた : ITmedia オルタナティブ・ブログ

で、私も「こんな面白いネタ、見逃すわけには!」と思い即座に表明しました。

つまり一言で言うなら、「IBM幹部という社会的強者であるマッチョの代表」vs 「引きこもりでありながらライターとして復帰しつつあるウィンプの代表」の対決構図である飲み会であったわけです。

 


 

結局飲み会は和やかでした

その飲み会については

マッチョりした結果がこれだよ!! - E.L.H. Electric Lover Hinagiku
机上のクーロン | マッチョ飲みに行ってきた
マッチョ飲み会に行ってきました - 惑い人の時系列

などで色々書かれているので別に僕がうんたらいう必要はない感じです。結論からいうととても楽しかった。 全員ほぼ初対面とは思えない盛り上がりでした。

 


 

少し話はそれるけど僕は情報収集が趣味です

なんで情報収集好きかと言えば、単純に見える世界が広がるから。例えば簿記を勉強したのも、 そういった知識を得ることで今までは見てもスルーしてきた会計表の読み方が判るようになってくるからです。英語勉強することで、 日本語字幕のハリウッド映画での英語をスルーしなくなったり、もしくは建築を勉強することで、 あの建物のあそこが弱いなーと判るようになる感じでしょうか。

見える世界が広がれば、前回僕が書いた「やる気と時間のポートフォリオ」における投資先もより明確になって来ます。 ともかく僕の目下の趣味と方向性は「情報収集」なのです。

さて、情報収集というのは、二種類の形があります。一つはプッシュ型、もう一つはプル型です。

  • プッシュ型 - TVに代表される、本人が取捨選択するのではなく、提供側が取捨選択して提供する情報を受け身に受け取る形。 「出会い」的情報。
  • プル型 - 検索エンジンに代表される、自分が欲しいと思った情報を自分で引き出してくる形。

自分の情報収集スタイルは、以下のような形。

  1. プッシュ型のメディア、つまりTVや、オススメされている本や、最近ははてなブックマーク人気のエントリーや、 色々なブログメディアのRSSを片端から読む(自分の知らない「概念」「分野」探し/へー世の中にはこんなものがあったんだーみたいな)
  2. その中で判らない単語が有ればプル型のGoogleで検索したり、それ専用の専門書を購入したりして読む

毎日RSSフィードをたぐり、日に300-1000の記事を読み、少しでも空き時間が出来れば手元の本を読む。 判らない単語が有れば携帯かミニPCで検索、長い資料はタスク登録しておき土日で読む、そんな日々です。 (300-1000といっても情報収集を行う人の間では全然大した数字じゃないんですが)

で、そんな僕が吉田さんの「一週間に数回、初対面20人飲み会二酸化」の話を聞いた時、衝撃を受けました。 「吉田さん僕がとても及ばない程の情報収集家である」と直感しました。その直感は、吉田さんが「一週間に二、 三冊のペースで本を読む」という話を聞いて裏付けられました。

もちろん、そんな飲み会を吉田氏が企画するのは、仕事の人脈を広げる為、ということもあると思うんです。しかし、 それならば仕事に直接関係有りそうな分野に集中して飲み会を行えばいいのです。今回の飲み会を企画する事は、そこまで「仕事の人脈作り」 にはコミットしない。ならばその目的はなにか。僕は情報収集であると踏みました。それも最大効率での。

 


 

人は何故最も濃い情報Feedであるのか

これに関しては直感と経験に基づくもので、仮説が多くなります。が、以下に箇条書きしてみます。

  1. メラビアンの法則
  2. 即時FeedBack
  3. 100%最新の情報

1.メラビアンの法則

「人の行動が他人に及ぼす影響は、7%が言語情報、93%が聴覚や視覚などの非言語情報」というメラビアンの法則があります。 言語情報とは、文字だけの本やインターネットの記事がそれに当たります。私は、この法則が存在する理由として、 それだけ非言語情報が含む情報量が多いからだと思っています。

即ち、文字にすれば同じ意味でも、しゃべり方、表情、身振り手振りなどで、全然違った表現をすることが可能になることがあります。 それだけ、FaceToFaceで人間が得られる情報というのは文字のみの情報を凌駕すると考えられます。

2.即時Feedback

直接会っているので、話を聞きながら「え、これはどういうこと?」とすぐに聞き返す事が出来ます。そのことで、話し手の言葉の定義と、 聞き手の言葉の定義のズレを適宜修正することが出来ます。

また、本人が話そうと思っていないことでも、こちらから話しかけて聞くことも出来ます。即ち、 間違いなくブログや本には上がってこないような情報も、本人と直接話すことで入手できることが出来ます。

3.100%最新の情報

今読める本や記事は、過去、書かれた物です。一方、今会っている人は、間違いなく「最新」です。 過去その人が書いたどんなブログや本よりも、新しい情報です。最新、ということは「今」に適合しているということで、 最も有効で価値のある情報の可能性が高いです。

 


 

人という情報Feedをもっと濃く引き出すのに必要なもの

おそらくそれは以下の三つであり、それが「吉田メソッドの肝」なのではないかと考えます。

  1. 初対面という状況
  2. 酒と食べ物
  3. コミュニケーション能力

以下説明。

1.初対面という状況

これは、別に人間に限ったことではありません。例えば、本でも初めて読む著者の作品は読むのに時間が掛かります。 RSSフィードでも同じ事です。同様に、人間でも初対面はなかなか理解するのに時間が掛かる。これは一見、非効率に見えます。しかし、 何故時間が掛かるのかといえば「新しい情報概念=論理構造」 というもっとも情報量が多い部分を受け取る必要があるからです。 そしてそれは今まで自分の中には無かったものです。

世界を
変えるなんてね
簡単なことよ

たった一人との
出会いで 簡単に
世界なんて変わる

「少年人魚」(作 海野つなみ)より引用

人間とコミュニケーションを行うということは、多かれ少なかれ相手の世界=情報概念を受け入れ、 自分の世界=情報概念の再構築を行う事になります。それが最も大きく行われるのが、初対面であるといえます。

2.酒と食べ物

正直ここは説明不要でしょうか。古くは飲みニケーションとか、最近ではランチミーティングなど、 この法則は様々な所で用いられています。

3.コミュニケーション能力

この「吉田メソッド」の最大の鍵であり、 最も難易度の高いところだと思います。これがなければ会話が出来ない。相手から会話が引き出せない。そして吉田さんは、 コミュニケーション能力の達人でした。

この得体の知れない「コミュニケーション能力」、個人的にも色々考えるのですが、 吉田さんを見ていて思ったのは「コミュニケーション能力=和を作れる能力」なのではないかなと。

コミュ力を単なるテクニックだと想定しているとしたら大間違い。コミュ力とは心のあり方。 「一緒に楽しい時間をすごそうよ」という気持ちを表に出して他者と接する事。 大前提として自分の心としっかり付き合えてる事

はてなブックマーク - xevraのブックマーク / 2008年04月23日

ここら辺が鍵であると思っています。吉田さんは非常に「場」 の盛り上げ方がうまかったし、実際飲み会はものすごい盛り上がりで終わりました。ほぼ皆初対面なのに。実に「楽しかった」。

この話は「和をもって尊しとなす」 のが日本でもっとも求められる話だとか、ある種「日本教by山本七平」の宗旨になってるんじゃねーかなとか、 日本で求められるmanagementとはつまり和を作る能力なのではとか、色々考えることはあるんですが、話がそれるんで止めます。

 


 

認識できる世界の大小がマッチョ/ウィンプの分かれ目なのか?

ところで、こんな記事があります。

 格段に異なるのは「意図的に人と会って話を聞く」時間だ。600万円台の人が35.2分であるのに対し、 2000万円稼ぐ人は83.8分で、2.5倍近い。1日ごとにこれだけの差があるのだから、年単位に換算すれば、その差は膨大だ。

【第12回】年収アップする生活行動学:NBonline(日経ビジネス オンライン)

そういえば、十年で年収を十倍の三千万円にしたワーキングマザーとして有名な勝間和代氏も、 直接会って話すことは情報収集の手段としてとても重要である、と 「無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法」で書いていました。

そしてはてなダイアリーにおいてマッチョ代表格(個人資産一億越え、ベンチャー経営)と呼ばれるfromdusktildawn氏も、 昼休み他の部署の人間と食事をするのが好きだった、と書いています。

私は、いろんな部署の、いろんな職位の人とお昼ご飯を一緒に食べるのが好きで、いろんなお昼ご飯友達がいました。

職場のイジメの被害者を助けてあげようとして、 酷い目にあいました - 分裂勘違い君劇場

たくさん人とあって話すことで、高効率で認識できる世界が広がる。認識できている世界が広がれば広がるほど、 自分の出来ることも沢山見えてくるし、やるべき事も見えてくる。選択肢も判ってくるし、より有利な人生戦略をとることが出来る。 結果年収は上がり、例えば勝ち組とよばれ、例えばマッチョと呼ばれるようになっているのではないかと考えます。

別に年収が上がらなくてもいいけども、本人が認識できる世界が大きく広く深いということは、それだけ豊かな人生、 ということなのではないかと考えます。その「豊かな人生」を歩む為には、「吉田メソッド」 的な方法論はけっこう不可欠になってくるのではないか、と。


おわりに

もちろん人とあうだけでなく、沢山の本を読み、沢山のRSSフィードを読むことでも、世界は広げることは出来ます。しかし、 おそらくこれは「代用」に過ぎない。本も、RSSフィードも、情報の出所は人だからです。

それを嗅ぎ取っている吉田さんに、IBM幹部の風格を見た思いがしました。

僕も、少しづつでもいいから興味を持った人と会ってみよう。そう思わされました。

(追記) 「吉田メソッド」へのコメントにコメント (西岡Blog)

(追記2)この事は、創発という単語でも説明できるかもしれません。

創発(そうはつ、emergence)とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される。

創発 - Wikipedia